ニュースレター3月号に書いた文章です。
通販番組の健康商品その2
<ナイシトール>
おなかの脂肪を落とし肥満を改善する医薬品です!と宣伝している。便秘解消をうたっているコッコアポAも中身は同じで、防風通聖散という漢方薬。体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多い脂肪太りで、便秘がちな人に用いられる。動悸、肩こり、のぼせ、むくみ、便秘、湿疹・皮膚炎、にきびに効果があるとされる。一見関係ないような症状が並んでいても、東洋医学的な病気の分類方法「証」ではひとまとまりの体質だと考える。その証の判定さえ合っていれば効果が期待できるだろうが、あくまで体質改善を目的とした薬であって、これを飲めば痩せるという痩せ薬ではない。しかも意外と副作用が重篤なものも含めて多いので要注意。1カ月ほど服用しても症状がよくならない場合は中止すべきかと。
また色白で筋肉が柔らかく水太り体質のタイプの人には「防已黄耆湯」が、「コッコアポL」という商品名で販売されている。
<セサミン>
抗酸化力を高めて体の酸化を防ぐ成分。 肝臓の負担を和らげる効果や腸内の善玉菌を増やす効果はもちろん、しわ・しみ・たるみといった肌の老化防止や、疲労感の改善効果も期待できる。抗酸化活動によって、老化現象の緩和だけでなく、生活習慣病のリスク低減が期待できる!とされている。
ラットに対する研究では多様な効果がうたわれるものの、ヒトを対象とした臨床試験は限られており大規模なものはない。ヒトがセサミンを摂取した時の有効性や必要量はまだまだ不明確で、これから根拠となるデータが蓄積されていくことが期待されている。
<イチョウ葉エキス>
血液循環を良くし、認知症を予防することを期待して売られている。血行が悪いために起きてしまう様々症状、認知症、アルツハイマー病、高血圧症、耳鳴り、めまい、更年期障害、神経痛,頻尿,冷え性,アレルギー,花粉症の改善などに効果があるとされている。
少なくとも4週間毎日服用すれば、認知症の進行がわずかに遅くなるというが、長期にわたって服用しても、認知症全般やアルツハイマー病になる率は変わらない。将来的に有用な薬になる可能性はあるものの、予防のために使うには効果が弱すぎる。ドイツでは薬になっているというが、そうでない日本で手に入るものの品質は安定しないという話もある。
<青汁>
野菜ジュースに比べて糖分が少なく、余分なカロリーや糖質を抑えながら、ビタミン、ミネラル、食物繊維を補うことができる。ただし青汁を飲めば野菜を食べなくていいことにはならず、あくまでも補助的なものにすぎない。もちろん青菜類をそのままミキサーにかけたものならいいのだが、加工食品ならば元の原材料にどれほどの栄養素が含まれていようとも、粉末加工する際に野菜本来の持つ食物繊維やビタミン・ミネラル類の相当な量を失ってしまう。特にビタミンや酵素などは加熱に弱いし、野菜の代わりにはならないと考えるべき。1回ぶんあたりキャベツ2枚程度の食物繊維しかない製品も多く、メーカーごとの差も大きい。しかも飲みすぎて食物繊維の過剰摂取となれば、腹痛、下痢、嘔吐などの原因となることもあるし、必要なタンパク質やミネラル分まで体外に排出してしまいミネラル欠乏症を引き起こす可能性もある。カリウムやビタミンKの過剰摂取にも注意が必要となる。
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