ニュースレター7月号に書いた文章です。
訪問マッサージは医師の同意のもとで医療保険が使えるわけなのですが、けして「医療行為」をしているわけではありません。そもそも医療行為は医師にしかできません。我々は、マッサージや鍼灸の「施術」を行っていることになっています。整骨院なら柔道整復の「施術」をしていることになります。
そしてマッサージや整骨院などの保険請求は、「診療費ではなく「療養費」という名目で行われます。
では、療養費とは一体なんなのか?やむを得ずに診療に要した費用の全額を自己負担したような場合に、本人が申請をして一部負担金を差し引いた金額を返してもらうような仕組みが「療養費」になります。
例えば急病や旅行中のケガ、保険証の交付を受けていない間(届出から交付まで)などで自腹で払った場合など。 あるいは医師が必要と認めたコルセットなどの治療用装具代や輸血をしたときの生血代なども療養費の扱いになります。
そして最後に、医師の同意を得て、鍼灸師やあん摩・マッサージ・指圧師の施術を受けて費用を全額支払ったときや、骨折やねんざ等で柔道整復師の施術を受け、費用を全額支払ったときも療養費の扱いになります。
ただし後二者の鍼灸マッサージ師と整骨院には受領委任制度があって、費用を全額払っていただかなくても、つど患者様にサインを頂くことにより施術者側が代理で保険者に保険請求することができるようになっています。
訪問マッサージの場合は、一割負担、往療料込で300~430円(移動にかかる時間もその患者さんのためだけの拘束時間ですし)。金額は訪問距離とお医者さんの同意書の内容で若干変わってきます。業者によっては制度をいろいろ工夫して700円ぐらい取る場合もあります。なお同住所なら二人目からはほぼ半額になります。
整骨院なら例えば2部位請求で一割負担の場合、初回310円2回目160円以降は100円程度。正味の保険請求だけでできる施術となるとおのずと限られてしまいます。
ただしこれは保険が出る額の上限の話であって、保険を使いつつ、かつこれ以上の金額を設定することは可能です。療養費の場合は、窓口負担の金額を施術者が決められるのです。ただし一割負担金のぶんは絶対にもらわないと違法になってしまいますが。
そもそも医療機関ではいわゆる混合診療の状態は禁止されているので、患者から保険外の費用を別途受け取った場合は、初診にさかのぼって「自由診療」として全額自費となってしまうはずです。しかし「療養費には混合診療という考え方自体がありません。
例えば整骨院で肩と腰の捻挫の治療を保険で行い、さらにプチ鍼灸やら姿勢矯正やらで実費を請求しても、それは混合医療には当たらないのです。だいたい自費オプションメニュー以前に、基本料金すら整骨院によってばらばらです。そして保険診療外の自費のメニューを増やしていこうという流れになるわけです。
ただし介護保険の訪問リハビリなら一割負担で20分間307円、40分間614円と20分刻みで請求していくようですが、鍼灸マッサージ師や整骨院には施術時間の規定は特にありません。あくまで拘縮や麻痺、筋委縮の予防改善のためのマッサージ施術、整骨院なら捻挫、脱臼、肉ばなれの整復施術をしているということで保険を請求しているだけなので、時間も内容も業者によってまちまちです。なので単に10分延長したから、いくら自費請求するというのは少なくとも趣旨がおかしい。しかし現実問題として金額でペイできる分のサービスしかやりようがないので(赤字になってしまう)、各々いろいろな名目で有料サービスを工夫するわけです。
なお当院では、訪問して30分程度の施術を行いますよということにしてあります。ただし細かくは患者さんの状態によりケースバイケースだとしか言いようがないです。
なお、来年の料金改正では制度が大きく変わるらしいです。
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