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拘縮について(その1 なんとか歩ける場合)

  • tanaka
  • 2022年11月13日
  • 読了時間: 3分

ニュースレター7月号に書いた文章です。


拘縮について(その1 なんとか歩ける場合)

今回は身体のこわばり、それも寝たきりではない方について。

片麻痺や坐骨神経痛、膝痛などで、どちらかの下肢に体重が乗りづらくなってしまい、跛行になっている患者さんは多いです。

今回はそのもっともありがちな拘縮のパターンについて解説しようと思います。

使える利き足をメインに使うので、普通に立っているだけでも自然とそっちに体重が乗ります。

すると無意識にその利き足が少し後ろに下がった姿勢になります。

重心が乗った方の足を後ろへ引いたほうが安定するため、できるだけ楽な姿勢をとろうとするのです。立ち上がるときもそうですよね。

利き足が後ろへ下がるということは、腰もそっちのほうにねじれて回旋してしまうということになります。

すると腰から上ももれなく回旋します。

背骨のたわみで軽減するとはいえ、利き足側の肩が後ろに下がり、逆に反対側の肩が前に出ます。

背中がガチガチで動きにゆとりのない人ほどもろにでます。

当然、顔面も正面ではなく利き足側に向いてしまっているはずですが、それでは進む方向の前が見えません。

前を向こうと無意識に利き足とは反対方向に頸をひねっているはずです。

こうしてすでにねじれているので、そこから腰や頸を左右にひねる回旋動作をしてもらうと、見かけ上、大きな左右差が出ます。あくまで見かけ上。

また利き足側に体重が乗ってそっちに重心が引っ張られているぶん、頭を反対の方向に傾けてバランスを取ろうとしがちにもなります。

この頸部が傾き・回旋して、体幹がそれとは反対方向に回旋しているという状態になると、肩関節が正しく動かなくなります。

実際にやってみるとよく判ります。この格好では、おそらく肩を挙上して最後までバンザイしきるのが難しいのではないでしょうか?

頸肩部も背腰部もねじれて詰んでしまい動けないと、どんどん筋緊張が硬くなっていって、痛みも出やすくなりがちです。

また下肢も筋力もおぼつかなくなっていき、歩くのもさらに不安定になります。

すると足元を確認するために頭を下向きにして身構えてしまい、背筋が曲がってきます。

腰が曲がってしまうと、股関節をまげて膝を上げる動作がさらにやりにくくなってしまい、ますます歩きづらくなります。(やってみてください)

股関節が上がらないぶん、常に膝を軽く曲げた姿勢でいた方が歩行は楽になります。

それでも次第に足底も挙がらなくなってくるので、つまずいて転倒しやすく、いつかは骨折して致命的なダメージを負ってしまうことが想像されます。

もちろん個人差はいろいろありますが、このパターンとはどこが違うかのかを考えて特徴を判断するようにしています。

四肢がつっぱって曲がらないタイプの拘縮もあるし、強い方に頭も体幹も傾くタイプや、その逆で弱い方に傾くタイプものもあります。

施術の基本方針としては、こうして進んできた歪みの流れを逆に辿って、正しい姿勢になるようにマッサージして筋肉をゆるめながら関節を誘導していくということになります。

歪んでいても折角それで安定しているのだから、歩行フォームを変える必要ないという説もあります。

下手に歩き方を変えても転倒しやすくなりますし、筋肉をゆるめすぎて逆に思うように動かなくなってしまうということもありえます。

確かに一理あることですが、正しい姿勢になれるけれど、あえて歪んでいるのと、そもそも固まってなれないのとでは大違いではないかなと思います。

楽なほうに流されるままだと歪みはどんどん進行してしまうので、一端リセットする意味でも全身をゆるめて正しい本来の姿勢に戻そうとするという方向性は、有効ではなかろうかと考えております。

 
 
 

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