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マッサージの実際の種明かし(2)

ニュースレター12月号に書いた文章です。


マッサージの実際の種明かし(2)


前回は下肢を話したので、今回は上半身。

まずたいてい運動不足の方は頸肩部がこわばって縮こまってしまい、肩が上がっている状態です。

かつこれが猫背気味になってくると、肩関節が少し前に出たような状態になります。

このまま肩を挙げようにも、肩関節が正しく滑らないため動きづらくなる、あるいは余計なところに接触して炎症し痛みが出やすくなったりします。

肩に動作時痛のある高齢者さんは非常に多いです。

五十肩の一種ですねーなどと説明するとちょっと喜んで、いやいやーもう五十歳どころか・・・と返す流れがお約束です。

要は老化現象の始まりということでしょうね。

なので上へ前へと移動してしまった肩関節を、下へ後ろへと誘導する方向へマッサージしていくのが基本になるかと思います。


なお猫背で下がった頭を支えるべく、頸部もカチンコチンになっています。

硬すぎて軽めの圧迫でも痛がる場合も多いです。

それにうなじ辺りは神経に触りやすいところなので、ちょっとでも刺激が強すぎると後から痛くなったりしんどくなったりしやすいので要注意です。

その代わり頸部をゆるめられれば、後がホンとらくになります。


上肢の各関節にも、なんらかの拘縮があるケースがほとんどです。

手指が握りこみ、肘が伸びきらず、肩が上がらない。

特に肩はむしろ180°完璧に挙げられる人のほうが少ないのではないでしょうか?。

普段の日常生活でいっぱいまで動かす必要もないので、結構動けなくなってしまっているものです。

また自力で動く範囲と、動かしてもらって他動でいける範囲との差もでやすいのが肩です。

一般に140°以上挙げられれば、生活に支障は少ないだろうと云われています。


肩関節の動きには肩甲骨の連動が必要なのに、肩甲骨まわりが固まってしまって動きがかなり制限されている場合が多いです。

肩甲骨まわりをゆるめ、上手く肩甲骨の連動を誘導できれば肩関節の動きは判りやすく改善します。

なお他動で可動域運動するときは肩が抜ける方向に力がかからないように肩関節を押さえて、できるだけ正しい関節の動きになるように誘導します。


肘の拘縮を伸ばすストレッチをするときも、肩が外れる方向にテンションがかかってしまいがちなので、しっかり肩を手で固定するのがポイントです。


皮膚運動学というハナシがあります。

関節の動きと皮膚の動きは連動しているので、皮膚を誘導すると拘縮も改善するのだというものです。

例えば肘の拘縮を伸ばすには、肘窩部に上からも下からも皮膚を集めるように誘導する。ホンマかいなと思いますが、これが意外と効果があるように感じます。


手指も握りこんだり、動きが制限されたりしがちです。

一本の指だけを伸ばしすぎないように、全体的にひとつひとつ関節を伸ばす方向に動かしていって止まるところで止める。

手首や肘も動かしてさらに緩みを出そうとする。

例えば腱鞘炎に対して、痛い指や手のひらもさることながら、そもそも手指を屈曲させる筋肉が始まっている肘窩あたりの大元にアプローチするのがセオリーとなっています。

手指の握り込み拘縮も同じことで、前腕部のこわばりから(さらに肩や頸まで)意識して施術します。

手指を伸ばしながら、肘窩からの筋にテンションがかけられれば直良しです。

また片麻痺でグーパー動作などほとんどできなかった患者さんでも手指運動の指示を繰り返していると、実用性を取り戻すのは難しいにしても結構しっかりした反応がでてくることがあります。

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