ニュースレター3月号に書いた文章です。
かねてより訪問前後は手指を消毒し、施術は二重マスクで行っておりました。
ある施設に要請されてからはフェイスシールドや使い捨て手袋も追加しての施術にも対応させていただいでおります。
まあ、どこまですれば安心を感じていただけるかということで、装備しすぎて不安を感じさせるならば本末転倒ではありますが。
全業界がそうでしょうが、介護医療関係のスタッフ皆様も大打撃に苦しんでおります。
しかし患者さんご本人にかかるストレスもやはり相当なものとなっております。
日々感染への不安にさいなまれているというのもそうですし。
そのために外出しなくなり、ますます運動不足で身体に問題が発生しやすくなってきます。
ある患者さんは、このコロナ禍のせいで兄弟の死に目に会えなかったのが最終的な引き金となって、心がすっかり折れてしまいました。
もう90歳になるし俺にはリハビリは必要ない!と頑固に心を閉ざしてしまったのです。
勿論ここに至るまでにつもりに積もったストレスがあったのでしょう。
リハビリをしなくなって身体がどんどん老いてしまう、ということも重要ですが、心が折れるともう一つ困った問題を引き起こしやすくなります。
患者さんが転倒などされて、打ち身やら腰痛やらになって、この痛みはどれぐらいで治るのかと聞かれることはよくあります。
明らかに軽症である場合はいつもこう言っています。
「2週間で6割方はマシになるんじゃないでしょうか。でも完全に痛みを0にしようと思うなら相当長いことかかると思いますよ。けっこうマシになってきたけどまだ痛み残るなぁと思いながら、頑張って身体を動かしているうちに、そのうち痛みも気にならなくなってくるんじゃないでしょうか?」と。
逆にそうならない場合はヤバイので、
「もし痛みがなかなか引かない、むしろ酷くなっていく場合はすぐにお医者さんに相談して下さいね」。と付け加えます。
しかし痛みの感じ方にはメンタルが大きく左右します。
心が弱ってしまうと痛みに耐えるのが難しくなり、同じ痛みでも余計に酷く感じるようになります。
なんでもかんでも心因性の疼痛にしてしまうのは危険な話だとは思いますが、実感として確かにそういう傾向は強いと思います。
痛みに囚われて意識しすぎると、むしろ痛みが固定してしまって、本来治るはずの疼痛が慢性痛に変化してしまいます。
こうなるとなかなか治りづらいし、痛みのせいで心が病むの相乗効果で悪循環に陥ってしまいます。
いままで元気だった患者さんでも、ショックなことがあったり老いのために弱ったりしてメンタルが急に弱くなっていくことがあります。
それはつまり、なにかの拍子に慢性的な痛みを訴える状態になりやすくなっているということ。
意識して施術の刺激量も落としていく必要があるでしょう。
痛み以外の、身体の動かしづらさに関しては、普段運動されていない方に施術して、身体が動かしやすくなったと実感していただくところまでは割りとすぐなのですけれど・・・。
そこからさらに慢性的な障害や症状をご自身が実感するほど改善していくのには時間がかかります。
もっとも長いスパンで言えば
「だいたい2倍から3倍。2週間かけて悪くなったものは4週間以上、1年かけて悪くなったものは2年はかかる」
というイメージです。
根本的なところを上向きのベクトルにしていくには、やはり時間がかかるものです。
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