ニュースレター9月号に書いた文章です。
ほぼ寝たきりで認知症のあるお婆さんのところに往療へ行くことになったときのこと。とても機嫌が良く、目が合うたびに何度も何度もなぞの歌の一部だけを繰り返し歌いだされます。「あなたのお顔を見たうれしさに呑んだら酔ったわ踊ったわ♪今夜はせめて介抱してねどうせムニャムニャ・・・♪」キワドイ歌詞だなー、口説いてるのかな?
今は何でもネットで調べられるのが便利なところ。実はこれ昭和27年の流行歌「芸者ワルツ」という曲の三番の歌詞の一説でした。江利チエミの「テネシー・ワルツ」に対抗して作られたという結構有名な曲らしいのだが、知らなかった。知らないことがいっぱいあるなー。昔のことを知るのも楽しい。
この仕事を始めた14年前は明治生まれの方もまだちらほらいらしたのですが、なかなかお見かけしなくなりました。現在ご存命なら108歳以上ということになります。大正最後の15年生まれでもう94歳ですから。
大正時代に生まれた男性の4割は、30歳の壮年期までに死亡しています(戦死は14%)。特に大正10年代生まれの方は最後の徴兵制世代で、男性の7分の1以上が戦死されています。終戦後、20代の男性は女性の半分以下しかいなかったとか。そもそも老人ホームに男性が少ないわけです。女性でも、空襲で大変だった~という話が聞けるのはこの世代の方が多いです。
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